赤ちゃんのあせも対策

明治時代のあせも治療に使われていた薬や方法

明治時代に記された育児書に、『育嬰草』と言う書物があり、この本の中にはあせもの治療法が記されています。その治療に使われるのは葛粉、ひき茶、小麦粉、蕎麦粉、天瓜粉(天花粉)等の粉であるとのこと。

ここで用いられている天瓜粉(天花粉)ですが、その名前を聞いてもピンとくる方はあまりいらっしゃらないかと思います。

これはウリ科のキカラスウリ(天瓜)の根からとれる白い澱粉のこと。この天瓜粉(天花粉)の使用方法はあせもの治療に留まらず、江戸時代から明治初期にかけてはなんとおしろいの代用品としても使用されていたそうです。

またあせもの治療も明治の中頃になると、亜鉛華(シッカロールの有効成分)が使われるようになりました。更に明治後期になると、亜鉛華澱粉が広く使われるようになったそうです。

なお汗疹の治療に用いられる天瓜粉(天花粉)などの粉は、弘田長博士により普及されました。この弘田長博士は、和光堂薬局を開設した人です。弘田長博士は1906年(明治39年)に、東京帝国大学薬学科の丹波敬三教授と協力することで、汗疹やただれなどの肌トラブルにきく「シッカロール」を誕生させました。

このシッカロールは、『小児養育の心得(1912年)』の中で紹介され、それにより「あせも予防にはお風呂上りにシッカロールをつける」という習慣が次第に広まっていったのです。

しかしながら明治時代には、現在のベビーパウダーのような、あせもの為の薬や入浴剤はありませんでした。この頃のあせもの治療には、桃の葉、ビワの葉、よもぎ、どくだみなど、江戸時代とほぼ同様の薬湯が一般の家庭でも利用されていたそうです。

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